はじめまして。
私は、東京木材市場の中の材木問屋「新木場相原」で働いている土橋善裕(どばしよしひろ)と申します。
「あいはらの木」という事業で、この「木材・材木のススメ」の運営を行っています。
木材流通のポータルサイト
このサイトは、「木材」の「流通」というテーマでのポータルサイトとなります。
このページを開設したきっかけは、木材業界の流通の変化と需要と供給のマッチングをスムーズにしたいという想いからです。
この業界で働き始めてから木に関する様々な質問や悩みをご相談いただくようになりました。
「欲しい材料、使いたい材料がどこにいったら、誰に声をかけたら手に入るのか分からない。」
「どこで買ったらいいかわからないから、とりあえずホームセンターに行って買ってきたけど・・・
アドバイスも何もないから何を買ったらいいかもわからないし・・・」
「こんなものを作りたいんですけど、どんな材料がいいですかね?」
「どんな機械で加工をしたらいいですかね?」など様々・・・色々と考えて分かった事、それは
①木について誰に聞いたらいいのか分からない
②木をホームセンター以外のどこで手に入れていいかわからない
の2点です。これを何とか解決できないか?とずっと考えていました。
①木について誰に聞いたらいいのか分からない
主に、建築を勉強されている方、建築士の方、設計施工をされる方等、
設計をする立場にいる方からの質問が多い事に気づきました。
建築士の資格は持っていても、学校では木についてそんなに多く学ぶ機会はないと。
また有名な建築士の飯塚豊先生も
「もしあなたが建築士として食べていきたいのであれば、木にこだわりを持つことが必要」と言っています。
木の知識は建築士にとって他の建築士には無いあなただけの「差別化」や「差異性」となります。
そもそも木の事を良く知らないから・・・
もしくはクレームを恐れるあまり新建材ばかり使って見た目だけの家を設計していませんか?
使う部材が新建材で良いとなれば、最後に待っているのは「デザイン」という名の価格競争だけです。
そこに、木が持つ「経年変化と共に同じ時を過ごす」だったり
「天然木だけがもつ言葉に出来ない快適さ」等の付加価値を付ける事で
あなたの価値はグッと上がるのです。とにかく木の正しい知識をつけて欲しいのです。
言ってしまってはなんですが、今ではお施主さんの方が木に詳しかったりします。
家は一生に一度の高い買い物ですもの。樹種にもこだわるお施主さんも増えています。
もしかしたらあなたのもっている木の知識が、お施主さんに負けることもあるでしょう。
そんな人に設計をお願いしたいですかね?
私だったら「本当にわかっているんだろうか?」と不安になりますが・・・どうですか?
勉強できる場所が少ない、調べるのも限界がある!
ですが、木について「使う」という視点で学べる場所は限りなく少ないのが現実です。
インターネットなどに上がっている「木そのものの情報」では「使う」という決め手にはならないと思うのです。
例えば 「○○科○○属で~、樹皮は○○で~、樹高が○○mもあり~」 とか・・・
材木として、使う視点で見るとどうなの?という事が知りたいのではないでしょうか?
また、それが分かったところで、結局どこで手に入れたらいいのかも分からないという現状もあります。
材木問屋という業界としては川中にいる立場で、その問題を解決するために立ち上げたのが、
この「木材・材木のススメ」なのです。
②木をホームセンター以外のどこで手に入れていいかわからない
これも、木について聞かれるのと同じぐらい言われます。
木材業界独特の流通形態
木材業界にいる方ならお分かりの通り、木材は複雑な流通経路を経て最終顧客に届きます。
そして、その複雑な流通経路こそがこの業界を支えてきた物。そして現在衰退を招いている物だと感じたのです。
その一例が以下のような事です。
おつきあい
いつもお世話になっている業者からしか仕入れが出来ない。
その業者に取り扱いの経路が「無い」とその材料は「手に入らない」ことになります。
そして、意図しない材料に変更となったり。そんなことが、ままあるんです。
おつきあいなんて完全にコチラの都合で、最終的なお客様には関係ない事なのに・・・です。
横のつながりの無さ
信じられないかもしれませんが、この業界は横のつながりが無いに等しいです。
「隣の材木屋が誰に何を売っているのか知らない」なんてことも、案外普通だったりします。
木材業界の人ならわかると思いますが、組合などの団体に所属して初めて他の材木屋さんの事を知る
そうでもしないと、取引のない同業種が何を売っているのかも知らない。そんな業界です。
信じられないと思いますが、私の勤めている東京の木の集積地「新木場」という狭い地域ですら
多くの木材業界人がお互いの取り扱い材料の把握が出来ていないのです。
「プレカットの登場」
プレカットの登場も木材の流通を大きく変えました。
建物を建てるために刻まれた材料を直接仕入れることが可能になりました。
多くの大工・工務店さんが手刻みをしなくなった為、材木屋さんが「在庫を持つ」必要が無くなりました。
また、今あるプレカットの工場もプレカット自体を価値として営業しているところは
一番やってはいけない「価格競争」に突入しています。
この価格競争も木の価値を下げている原因の一つです。
業界の持つこの複雑な問題を一つでも解決に導きたい!
このサイトがきっかけとなり、「木材の流通」を紹介していくことで
ひとつでも「木と人を繋げられれば」と考えました。
木材の特性や取り扱い材木屋さんの紹介、メーカーや仕組み、一体どこで材料を手に入れればいいのか、
誰に相談すればいいのかそんな問題を既存の流通ルートからだけでなくとも、
検索するだけで知ることが出来る場を作るそれがこのサイトの存在意義と考えています。
どうか、一人でも多くの人が木とつながりを持てますように。
あいはらの木 土橋善裕