快適の定義
実は、木材を使用したことによる「快適」の「定義」というのは非常に曖昧で確率はされていません。
定義は確立していなくとも「快適」というものは存在します。
あなたは、例えば何をしているときに「快適だなぁ」と感じますか?
・寒い外から暖かい部屋に入ったとき
・夏の暑い日に、涼しい部屋に入ったとき
・運転中渋滞から抜け出したとき
等々、「快適だ」と思うことは存在しています。
東京工業大学の名誉教授である乾正雄先生は快適性を2つにまとめて整理しました。
それが、「消極的快適性」 と 「積極的快適性」 です。
わかりやすくまとめると
「消極的快適性」は暑い、寒い、苦しいなどの不快を除去する快適性です。
上にあげた3つの例は「消極的快適性」に分類されます。
それに対して「積極的快適性」はどちらかというと五感を刺激する+の快適性です。
例えば、
・一人で好きな音楽を部屋で聞く、コンサートへ行く
・好きな絵画を見る、美術館へ行く
・森林浴をする、原っぱで寝っ転がる
等がそれにあたります。
講演で千葉大学環境健康フィールド科学センターの宮崎良文先生は、
快適なことは「シンクロした状態だ」とおっしゃっていました。
ライブや音楽、絵画、コンサートなど自分とシンクロしたときに「快適」だと感じるのです。
確かに、好きなアーティストの音楽を聴いたりライブに行ったり、
一人で好きな本を読んでいるときなどはとても快適だと感じます。
木材の快適性については先述の「積極的快適性」に分類されます。
木材の快適性のカテゴリー
このカテゴリーでは、資料で私が調べた木についての快適性の項目や、
講演会に行って学んだ内容を分かりやすくかみ砕いて説明します。
「木材」と「快適性」は強い結びつきがあります。
この知識をつけていただくことで、木材を使う提案がしやすくなるとも言えます。
木材の快適性については先述の「積極的快適性」に分類されます。
人間は五感で得た感覚と、血圧や心拍などの生理現象で快適か否かを判断します。
このカテゴリーでは、それを軸に説明を進めていきます。
また、データは千葉大学環境健康フィールド科学センターの宮崎先生の
オープンアクセスデータを使わせていただいています。
人間の進化と自然離れによるストレス
人間は、700万年前から少しづつ進化を遂げながら昔から自然の中で生活をしてきました。
自然の中で過ごすことが、自然で快適な環境だったのです。
現代のように鉄やコンクリが溢れビルが立ち並ぶようになったのは、
たったのここ200~300年の話で人間の進化の過程でいえば、
急激に自然の中にいた環境と離れたといえるでしょう。
そういわれれば、人間が対応できず現代にストレスに感じるのも納得できます。
やはり、少しでも自然の中にいるべきだと思うのです。
自然素材である木材を身の回りに置くことは自然な環境に近づく事を意味します。
森林セラピーに行くと、ほっとすることがそれを証明してくれるのではないでしょうか
木や木材を好きな人もいれば、その一方で嫌いな人もいます。
ですが、木材と快適性には強い結びつきがあることを知ってほしいのです。
見た目やにおい、質感など、結局は人の好みという事になりますが、
人間の体は本能で自然なものを求めています。
このカテゴリーを読んでいただくことで、
建築士の差異性である「木材」を使ってもらう理由付けや、
「快適性」の提案ができるようになっていただけると幸いです。