木を触って感じること
鉄やコンクリート、ガラスのような無機質なものと木材を触り比べてみると
どんな感想が出てくるでしょうか?
その答えはおおよそ「柔らかい」や「暖かい」「優しい」などどちらかというと
「快適」に近いポジティブな意見が多いと思います。
その秘密は、木材の持つ「熱伝導率の低さ」と「やわらかさ」にあります。
このページでは実験を元に人間が触って感じる快適性についてまとめました。
実験とデータ
宮崎先生は株式会社マルホンさんとの共同研究で
被験者に完全に視覚を絶った状態で木に触れてもらい
前頭前野活動、心拍数、副交感神経活動、交感神経、アンケートでの主幹評価を取る実験を
行いました。
結果、無塗装の木材に触ると副交感神経活動が高まりリラックスをしたというデータがとれました。
脳の活動も無塗装の木材に触ると鎮静化しました。
木材の表面に塗る塗料とストレス
この実験では、木材の無塗装のほかにオイル塗装、ガラス塗装、
ウレタン塗装(薄)、ウレタン塗装(厚)も合わせてデータをとっています。
無塗装、オイル塗装では血圧が下がり、リラックスしたにも関わらず
表面に膜をはる塗装であるウレタン塗装では血圧が上がったというデータもとれました。
木材の素材だけではなく、塗料でも触覚によるストレスが変わるのは意外だと感じました。
触覚による木材の快適性まとめ
木材に触ると、生理的に快適になることがデータであるのは素晴らしいと思います。
特に、日本人は靴を脱いで裸足で生活するので、常に足は地面に触れていることになります。
また、手すりや壁なども触ることがあるでしょう。
そこに木を使うことで「快適」の提案ができるのです。
木を使う理由「なんのために木を使うのか」という事でいえば
やはり上記の実験結果である「リラックスの効果」を期待したいところです。
しかしながら、ウレタン塗装がストレスを与えているという実験結果も出ています。
ウレタン塗装は表面に膜を張るタイプの塗装で、メンテナンスもほぼ必要なく
非常に耐久性が高い事が特徴です。厚く塗ればある程度の傷も塗装が傷つくだけで済むかもしれません。
部屋の中の木材をすべてウレタン塗装にすると、確かにツヤがあって傷つきにくく
木材の目もきれいで視覚的には良いかもしれませんが、それは木の空間ではなく
悪くたとえると触覚的には、塗装という名のビニールハウスの中で生活することになります。
木材の調湿効果も塗装によってシャットアウトされているので余計に不快に感じるかもしれません。
対して、無塗装材のようにリラックス効果のあるオイル塗装は、定期的なメンテナンスが必要です。
木に対する効果と、コストパフォーマンスなど様々な提案が出来るといえます。
こうなってくると使う塗装のチョイスも重要になってきますね。