柱に適した材

柱はこの部材です。


柱は建物を支えるとても大切な部材です。
黄緑は間の柱と書いて「間柱」(まばしら)と呼ばれる部材です。

柱として求められる性能

柱材に求められる性能として、まず重い建物を支える為の高い圧縮性能が求められます。
すべての木材は縦の繊維方向に強い圧縮性能を持っていますので、基本的にどんな樹種でも圧縮性能的には問題ないと言えます。
しかし、広葉樹に関しては乾燥による割れや変形の観点から構造材に使われるのは珍しいです。

次に求められるのが、防蟻性です。
白アリに食べられない材料を使うことが大切です。

柱として使われている樹種

大手ハウスメーカーで多く使われているのはホワイトウッドと呼ばれる
欧州トウヒや欧州アカマツの集成柱(積層柱)、国産杉の集成柱です。

集成柱とは、木をラミナ―にしたものを接着剤で貼り付け、柱に形成したもので、
工業製品的に強度計算がきちんとされています。
また、無垢材に比べて乾燥収縮による変形が起こりづらい事が特徴です。

木材の乾燥収縮による変形は、床鳴りやクロス切れ等のクレームを起こす可能性があります。
これを嫌っているため、大手のハウスメーカーに採用されています。

ですが、昔から一般的に良く使われてるのは無垢の杉材です。
次いでヒノキ材、アカマツ材となっています。

無垢の材料と集成材は、一体どちらが良いのか?という疑問があると思いますが、
これには一長一短あります。

集成柱のメリットは
・沢山の木材を貼り合わせていることによる工業製品化した、安定した強度の強さ。
・ラミナ―時点で乾燥材を使う事による木材乾燥時収縮の起こりづらさ。
デメリットは
・接着剤を使っていること。何十年もたった後に、接着剤が剥がれない可能性はないとは言えない。
(集成材には何百年もの歴史があるわけではない)
・独特の色艶の良さは出ない。
・接着剤という化学物質を使っていることによるシックハウス症候群の可能性
(F☆☆☆☆製品でも、敏感な人は反応します)

無垢材のメリットは
・天然素材そのものの色艶の良さ、見た目のやさしさ。
・化学物質を一切使用していない。
・張り合わせていないのだから剥がれようもない。
デメリットは
・きちんとした乾燥材を使わないと乾燥収縮による変形が起こる可能性がある。
・一本一本品質にバラツキがある為、無垢材の取扱に慣れた大工さんやプレカット工場が必要。

ちなみに強度的な問題で言えば、
きちんとした乾燥材を使っていれば無垢の柱材も集成柱と同じぐらい強いものとなります。

どちらかというと、構造材に使う柱としては「耐久性」で選ぶことが大切です。

構造、用途によって適した材料は変わります。
例えば、柱の見える和室につかわれる材料は一般的に節のある材料や集成柱はあまり使われません。
秋田杉や吉野ヒノキなどの無節材が使われたりします。
逆に壁に隠れてしまう材料は節があっても関係ない箇所には、特一等材の杉材が使われます。

節の有無や産地によって柱材の値段は変わってきます。適材適所で選択したいところです。

柱の寸法

柱には既製品の寸法があります。
地域によって異なりますが、基本的に120㎜角か105㎜角が一般的です。
長さは3m、4m、6m(通し柱)が一般的です。

木材の値段はホワイトウッド、欧州アカマツが安価です。ハウスメーカーに採用されているのもコレです。
次いで杉材、そしてヒノキ材となります。
値段感としては、ホワイトウッド集成柱×1.5ぐらいがヒノキの無垢柱といった感じです。
一本単価で言えば数百円~数千円の違いだったりします。
何千万もする家の値段から考えると、そこに占める割合は非常に少ないです。

余談ですが、柱と柱の間に入れる材料である「間柱」(まばしら)は
その物件の柱の寸法に合わせた物が使われます。
120㎜角で建てられた建物であれば120㎜×30㎜や、120㎜×45㎜などが、
105㎜角で建てられた建物であれば105㎜×30㎜や、105㎜×27㎜、105㎜×30㎜等となります。

柱材に適したオススメランキング

柱材として木材問屋的にオススメのランキングです!

1位 杉 
流通量、柱材としての性能、コストパフォーマンスから考えても1位です。
杉の心材である赤身は腐れや蟻に強く、強度も申し分なしです。集成柱も同じく強度が高い為オススメです。
きちんと乾燥した材料を使うことがポイントとなります。

オススメ度☆☆☆☆☆

2位 ヒノキ
西日本など、杉よりもヒノキの流通が多い地域ではヒノキがオススメです。
檜自体が耐久性、耐蟻性にとても優れています。
東日本では杉よりも若干コストが高めになります。

オススメ度☆☆☆☆

3位 アカマツ(ジマツ)
ここでいうアカマツは輸入材のアカマツではなく国産のアカマツ、ジマツと呼ばれるものです。
希少材の為コストは高めですが、国産材の中でも、トップクラスの硬さを持った材料です。
柱としてはもちろん、曲げにも強い為、梁などにもオススメの材料です。

オススメ度☆☆☆

4位 ホワイトウッド集成柱
コスとパフォーマンスはかなり高めです。大手のハウスメーカーさんだけでなく
加工性の良さから、今の大工さんにも人気で多くの建築に使われています。
強度こそ杉と変わらない性能を持っていますが、水に弱い為耐候性は低めで、防蟻性も低めです。
野ざらしにしておくと数年でボロボロになったという実験結果もあります。
材木問屋としては・・・正直コレでいいんだろうか??というのが正直な意見です。

オススメ度☆☆

何のためにこの材料なのか?

何のためにこの材料を使うのか?きちんと説明が出来ますか?
何の考えもなしに、柱として当たり前だからホワイトウッドの集成柱や杉を設計に組み込んでいませんか?
大切なのは、何のためにこの材料を選択したのか?という事を説明できる。
また他の選択肢も説明できる事だと思うのです。

最終的に一番大切なのは何なのでしょう?
ご自身の利益ですか?それともお客様の家に対する想いですか?

木を売っている私でも、正直あまりホワイトウッドの柱は販売したくないという想いがあります。
それが、たとえ他の材料を売るより利益が出たとしてもです。
それはホワイトウッドという木がどんな特性を持っているか知っているから、そんな木を流通させることに抵抗があるのです。
万が一もし、どこかで雨漏りが起きたら、この柱は・・・とかを考えると・・・

今は、お施主さんの方が木について詳しいというのも珍しくありません。
設計をした時の仕様にホワイトウッドを入れ込んだ場合、
お客さんに「なぜホワイトの柱なんですか?」と聞かれてその理由を答える事が出来ますか?

日本には四季があります。暑い時期、寒い時期、乾燥した時期、湿気っぽい時期、
そんな日本で育った木は日本の気候に適した材料だと言えます。
それを考えても杉やヒノキの柱材をオススメしたいところです。

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