梁(はり)とはこの部位です。
一般的にこのピンクの部分が梁と呼ばれます。
梁に求められる性能
梁は柱とは違い横使いされる為、上部からの荷重に耐えられるだけの曲げヤング係数とせん断強度が求められます。
樹種によって強度が違う為、曲げヤング係数とせん断強度が低めの材は、高めの材に比べて大きな寸法の材料を使うことになります。
梁は空間デザインの一部として見える部分に使うことも出来る為、見栄えも求められることがあります。
例えば、レッドウッドの集成梁材(欧州アカマツ)の張り合わせた材料が見えるよりも、無垢の1本感が欲しい方には無垢の方が良いでしょう。
集成材であれば個体差によって単価の違いはありませんが、無垢材は寸法や木目、節などの個体差によって値段が変わってきます。
梁の種類
梁には使用する場所や役割によって種類があります。
1、床梁 (ゆかばり・二階梁)
二階の床を受けるための梁です。
2、小屋梁(こやばり)
和小屋組の最下位の部材で小屋束を支え、屋根の加重を軒桁や柱に伝える梁。
洋小屋組では「ろくばり」といいます。
3、敷梁(しきばり)
和小屋組において、小屋梁が長大にわたる場合、その途中で受ける断面の大きな梁です。
4、つなぎ梁(つなぎばり)
小屋梁間に渡して、小屋組の揺れを防ぐため小屋梁を固定する梁です。
5、火打ち梁(ひうちばり)
桁と桁の端に45度に取り付ける梁です。
上図のピンクの上の部分ですね。地震や台風による建物の変形を防ぐ役割を持ちます。
梁に使われる樹種
梁として使われる樹種は以下の物が一般的です。
・ベイマツ
曲げ強度、せん断強度共に文句なしの材料です。
一般的にベイマツの無垢材がよく使われます。
・ジマツ
国産の針葉樹の中ではトップクラスの硬さ。
曲げヤング係数も非常に高い。
希少材なので価格の高さと流通量がネック
・杉
無垢材、集成材共に梁として良く使われる材料です。
柔軟性があり、加工性もよい流通量も多く比較的安価。
曲げヤング係数とせん断強度は他の針葉樹に比べて低めです。
・カラマツ
曲げ強度が強い為、梁に適しています。
節にこだわらなければ、流通量も多く安価となります。
・エゾマツ・トドマツ
カビやシロアリに弱く耐朽性は低めだが、白っぽい見た目から
見える部分に使いやすい。他の白色の材料(ホワイトウッドやパイン材、SPFなど)との
色の愛称もよい。主に北海道で構造材として多く使われています。
曲げヤング係数、せん断強度は杉より強いです。
・レッドウッド(欧州アカマツ)
レッドウッドは集成材が輸入されています。
流通量も多い為、安価で手に入ります。
曲げヤング係数、せん断強度は高めです。
樹種によるせん断強度の強さは
ベイマツ>カラマツ>スギ・エゾマツ・トドマツ
の順番に強いです。
曲げヤング係数の強さは
ベイマツ>エゾマツ・トドマツ>カラマツ>スギ
一般的に杉はベイマツの6割ほどの曲げヤング係数となります。
梁に使われる寸法
梁に使われる寸法は真四角な角材である正角材ではなく、短辺と長編の長さが違う「平角」と呼ばれる寸法が使われます。
短辺で多いのが 105㎜か120㎜ となると
長辺 150㎜・180㎜・210㎜・240㎜・270㎜・300㎜・330㎜・360㎜・390㎜・450㎜
となるのが一般的です。アイキャッチ画像はベイマツの105㎜×180㎜の梁の平角です。
長さは3m・4m・5m・6mが既製品として存在します。
なお、木材はサイズが大きくなればなるほど高価になっていきます。
梁に使われる材料は、一本の木を使った無垢材か、張り合わせて作り出された集成材かとなります。
無垢材はサイズが大きくなればなるほど希少性が上がります。
なので大きくて長い材料はとても高価なものとなります。
ですが、集成材は作り出した材料の為寸法の大きな材料となっても値段の上がり方が一定です。
梁としてどう使うか?
デザインとして見えるように使うか、天井に隠れるように使うかで使う材料は変わってきます。
デザインとして使うのであれば無垢材が向いていると言えます。
逆に天井に隠れてしまうようであれば集成材の方が価格も抑えられ、製品も安定しているため安心です。
無垢材であれば、きちんと乾燥した材を使うことで強度を保てますし、
集成材であれば乾燥したラミナ―を使っているため強度は保証されています。
雨漏りなどが絶対に無いようであれば、梁は施工位置が高い為 白アリへの心配は少ないです。
トドマツのように耐蟻性が弱い材料でも大丈夫です。(梁の前に土台とか、柱とかラス板が食われます)
また、樹種によって曲げヤング係数とせん断強度が異なります。
梁として一番重要なの事は強度なので、強めの材を使うことお勧めします。